よく眠れるからと就寝前にお酒を飲む人が日本ではかなり多いですが、実は寝酒は飲み方を間違えると睡眠の質は悪くなります。ただ眠るということに関しては、一定の効果があると実証されているので、その飲み方が大切になります。そこで、今回は「効果的な寝酒の飲み方」を紹介していきたいと思います。
どうして寝酒を飲むと眠くなるの?
寝酒は、よく眠れるようになると多くの人が実践している方法ですが、なぜ眠くなるのかを知っている人は意外と少ないです。寝酒の眠気には、アルコールと脳内の神経細胞「GABA(受容体)」と呼ばれるものが大きく関わっています。
GABA(受容体)ってなに?
GABAとは、人を含め、ほ乳類の脳や脊髄などの中枢神経にある「抑制性の神経伝達物質」です。正式名称は「γ(ガンマ)-アミノ酪酸(らくさん)/ Gamma-Amino Buryric Acid」と呼ばれています。
GABAは、興奮を抑えたり、ストレスを和らげるという効果があるといわれますが、単体では抑制効果はありません。脳内にある「GABAとGABA受容体」が結合することで、はじめて抑制(リラックス)効果が発揮されます。
普段は脳内でGABAは作られていますが、強いストレスなどで消費し過ぎて不足することもあり、なかなか寝付けなくなるということもあります。体調管理する上でもとても大切な物質です。
眠気の原因は「アルコールとGABA受容体」
実はアルコールにはGABAと似た性質があります。寝酒として飲んだアルコールは、胃や腸で吸収されたのち、血流に乗って脳内までたどり着きます。そこでアルコールは、GABA受容体と結合。この結合によって神経の抑制効果があらわれ、眠気が引き起こされます。
これが寝酒を飲むとこの現象が身体の中では起こっていて、寝酒を飲めばぐっすり眠れるという感覚になっているんですね。
寝酒は危険!アセトアルデヒドとは?
睡眠に詳しい多くの専門家が「寝酒は良くない」とする理由として、アルコールが分解されるときにできる「アセトアルデヒドの作用」をあげます。アセトアルデヒドには、交感神経を刺激する作用があって、途中で起きてしまったり、目が覚めると寝付けないという副作用を起こすからです。
つまりアルコールは睡眠の導入に効果はあるものの、結果的には睡眠の邪魔をしてしまうということなんです。そう言われると実際に途中で起きてしまっていると感じる人も多いのでは?
でもお酒は飲むなって言われても、毎日の晩酌を楽しみにしている人にとってはかなり辛い我慢になってしまいます。
睡眠の質を下げない効果的な寝酒の飲み方
大切なのは「飲みすぎない」
一般的な成人で、ビール大瓶(633ml)のアルコールを分解するのに約3時間~5時間が必要とされます。つまり睡眠時間から逆算した3時間~5時間前までに晩酌をすれば、それほど睡眠の質を下げず、体への影響も少ないということです。
例)24時就寝=晩酌は21時まで(ビール瓶1本程度)
もちろん「アルコールに弱い人・小柄な人・女性」は、アルコールの分解速度も比較的遅くなります。また適量を超えると分解時間も長くなるので、早めに飲むなど工夫が必要です。うまく時間と飲む量を調整してあげて、質の高い睡眠に導いてあげましょう。
GABAのサプリは睡眠効果はない
GABAは口から摂取しても分解されて、血液脳関門(脳への通り道)を通れないことが研究で分かっています。なのでGABAサプリを飲んでも、神経伝達物質として直接的に作用する抑制(リラックス)効果はないとされいます。
寝酒より睡眠の質をあげるのは乳酸菌?
その一方で、GABA効果があると注目されているのは、腸内のGABA受容体への刺激です。GABA受容体は、腸内にも存在することが分かってきて、この腸内のGABA受容体を乳酸菌で刺激してあげると、それが中枢神経から脳へと伝わり、脳内のGABA産出量が増えるという新発見。
すでに論文(PNAS. 108, 16050-5)発表もされ、マウス実験でも中枢神経(腸から脳)を切断すると脳内のGABA受容体が活性化されなかったという報告もあり、信憑性が高くなっています。
これは腸がストレスや感情をコントロールする力があるということですし、食べて睡眠の質を高められるという新しいスタイルになります。いくらGABAを摂取しても、まずは腸内がしっかり働いてくれる環境でないと、心と体のバランスがうまく保てないといことなので、寝酒よりも乳酸菌のほうが自然な眠りにつけそうですね。
まとめ
最近では、GABA系サプリのほかにもよく眠れるという睡眠サプリも販売されているようです。
なかなか寝付けないという不眠症の方は試してみては?